philosophy

編集工学研究所の「仕事の作法」と「事業を支える方法」をご説明します。
多領域にわたって研究開発を進めてきた創業以来のミーム(文化的遺伝子・らしさ)と、
異分野を実践的につなぐコアメソッド(編集工学・BOOKWARE)をご覧ください。

生命に学ぶ 歴史に展く 文化と遊ぶ

編集工学研究所が多領域にわたって研究開発を進めてきた礎となっているのは、創設以来の仕事の作法である「生命に学ぶ・歴史を展く・文化と遊ぶ」です。

 

「生命」の動的なモデルや有機的なふるまいから未来へとつながる方法を学び、「歴史」のなかの社会モデルにひそむ知恵や世界観の変遷に課題とともに立ち戻り、「文化」が培われる過程で生まれた豊かな意味や表現の多様性を胸に、未知へ挑んでいます。

 

生命・歴史・文化がもつ可能性を活動の足場にし、思い切った「仮説」や新たな「問い」に向かい続けます。

意味と方法の市場へ

編集工学研究所 所長

松岡正剛

1944 – 2024

 

編集工学は「情報社会をおもしろくさせる方法」です。ちょっとした変化をつくろうというのではなく、痛快に、また愉快に、情報社会を思いきって面白くさせる方法です。そのため、あらかじめ「編集する」と「工学する」とが掛け算してあります。

情報社会は、ごくごく分かりやすくいえば、人間に属する知覚や認識や身体のはたらきと、技術を伴うネットワーク、デバイス、インターフェースなどのしくみとで、できています。そこに自然、都市、産業、組織、家族、商品、娯楽がかぶさり、さらにそこを知識と心理と病理が出入りして、さまざまな仕事を発生させているわけです。

ここにはたくさんの組み合わせがあります。編集工学はこれらの複合的な組み合わせに生じるできるだけ多くの対応関係にかかわって、情報編集力を発揮するのです。その基本は「人間」と「技術」の対応にもとづきます。

 

編集工学研究所が「研究所」になっているのは、編集にも工学にも起源や変遷があるので、それらの成果を研究し、異分野をまたぐレガシーを伝承したいと思ったからです。特に(1)生命がどのように情報編集してきたのか、(2)歴史はどんな風に事態を展開してきたのか、(3)文化は趣味や遊びを通して何を表象してきたのか、という3つを大事にしています。編集工学研究所のモットーは「生命に学ぶ」「歴史を展く」「文化と遊ぶ」なのです。

 

編集工学が培ってきた技能や技法も、できるだけ伝えていきたいと思ってきました。イシス編集学校、クエストリーディング、コンセプトエディティング、各地のブックコモンズ、さまざまな教育実習、そして私の著作物などで出会ってください。

 

編集工学は万能細胞ではありませんが、きっと情報社会の準能細胞として多くの方法に寄与できるものなのです。サプライズが待っているはずです。

撮影:川本聖哉