Season 1 第6講
「生命と文明のAIDA」をどう見るか
2021.3.6
【シーズン1ボードメンバー】
いとうせいこう(小説家・作詞家・ラッパー・俳優)
岩井克人(経済学者)
大澤真幸(社会学者)
佐倉 統(科学技術社会論研究者)
田中優子(法政大学名誉教授、江戸文化研究者)
中村 昇(哲学研究者)
山本貴光(文筆家・ゲーム作家)
鈴木康代(イシス編集学校)
【プログラム】
13:00〜 オープニング
13:45〜 AIDAセッション前半(全員参加)「キメラ?ごちゃごちゃ?エッセイ?「間論」という過激な文体をめぐって」
15:30〜 AIDAセッション後半(全員参加)「砂上の楼閣を生きる僕らには絶望が足りない」
17:25〜 松岡正剛 最終講義
18:45〜 ボード座長セッション(全員参加)
講義の本棚「情報編集の歴史に身をうずめる1冊」
ライブセッションで交わされた議論から、より思索を深めるための参考書籍を、運営チームがピックアップ。最終講となる今回はシーズンを通しての課題図書でもある、松岡正剛座長の著作『情報生命』(千夜千冊エディション/角川ソフィア文庫)で締め括る。
「生命と文明のあいだにあるのは、『情報』と呼ぶしかないものです」。松岡座長は、第6講の最終講義でそう語った。情報の正体の一つは、真空のゆらぎだ。真空のゆらぎが対称性の破れを起こし、真空の無からヒッグス粒子を出した。物質ができた瞬間だ。物質はやがて星となり、そのかけらが地球となって、地上の高分子から生命を誕生させた。今度は「生命の飛躍」が起きたのだ。
そのうち、シアノバクテリアが光合成をして酸素を発生させるという大事件が起き、地球は酸素で満ちあふれた。RNAとDNAのセントラルドグマもでき上がり、生物進化の素地ができ上がった。それからいろいろあって「裸のサル」が地球上に増え、文明を生み出した、というわけだ。
「僕はこうした情報編集の歴史に身をうずめたい、と思ったんです。そのために主題じゃなく、方法に注目するようになった。情報編集の方法を見ないと、生命も文明も分からないからです。皆さんも、生命と文明のあいだにひそむ情報の歴史に立ち戻ってください」。